すし ちらしずし・巻きずし・押しずし など | 伝え継ぐ日本の家庭料理
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すし  ちらしずし・巻きずし・押しずし など

著者:日本調理科学会 企画・編集
定価:3,080円 (税込)
発行:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:堅牢愛蔵版B5変形 130ページ

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こちらはソフトな表紙のハンディ版。価格もお求めやすくなっています。

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お米をたっぷり使うすしは、昔からハレの日のごちそうです。その形、具、すし飯の味は風土で異なります。具に個性が表われるのり巻き、フナやモロコなどの川魚のすし、酢じめの魚や山菜をのせた押しずし、一尾丸ごとから焼き鯖、そぼろまで多彩な鯖ずしなど、さまざまなすしのレシピが掲載されます。

ちらしずし・ばらずし
さまざまな具を混ぜたすし飯の上に具を飾るすしを、主に東ではちらしずし、西ではばらずしや混ぜずしと呼びます。岡山、広島、香川、大分など、瀬戸内海沿岸の地魚や野菜をふんだんに使った、ちょっとぜいたくなばらずしから紹介します。

巻きずし・いなりずし

持ち運びや取り分けしやすい巻きずしやいなりずしは、昔から運動会や遠足の弁当の定番です。巻きずしの具は色と味のバランスが考えられ、切り口は華やか。 油揚げに飯を詰めるいなりずしは全国共通ですが、その形やすし飯の味に個性があります。

にぎりずし
にぎりずしといえば、江戸時代に生まれたファストフード、江戸前ずしですが、家庭では「ひっつけ」などと呼ばれ、手づくりしてきました。ただし、具は「漬け」や酢じめの魚、煮含めた川魚、山菜などさまざまで、その地域でたくさんとれたものを素材にしています。


葉のすし

柿の葉や笹など、身近な木や草の葉を使ったすしです。 葉っぱは包んだりはさんだりと、食器や仕切りになり、また、抗菌作用がある葉の場合は保存性も増します。 そしてすしに彩りを添えて季節を感じさせることで、よりおいしくするのです。


押しずし・箱ずし

箱や枠、桶にすし飯を入れて押すので、すし飯と具がよくなじみ、ご飯がたっぷり食べられるすしです。西日本で多くつくられ、家庭には専用の木枠や箱があります。四角く切り分けたり型で抜いたり、具の飾り方やご飯の詰まり加減にも地域ごとに違いがあります。


姿ずし

魚の姿が丸ごと見えるすしで、尾頭つきのごちそうです。鯖やさんま、いわしなどの青魚をよく使いますが、背開きもあれば腹開きもあり、同じ魚でも見た目が違います。魚と飯を発酵させる「なれずし」タイプも、主にご飯を食べるすしは、ここで取りあげています。

(写真撮影 五十嵐公、高木あつ子、戸倉江里、長野陽一)

 

 
 
 
 

はじめに

日本は四方を海に囲まれ、南北に長く、気候風土が地域によって大きく異なります。このため各地でとれる食材が異なり、その土地の歴史や生活の習慣などともかかわりあって、地域独特の食文化が形成されています。地域の味は、親から子、人から人へと伝えられていくものですが、食の外部化が進んだ現在ではその伝承が難しくなっています。このシリーズは、日本人の食生活がその地域ごとにはっきりした特色があったとされる、およそ昭和35年から45年までの間に各地域に定着していた家庭料理を、日本全国での聞き書き調査により掘り起こして紹介しています。
この本では、さまざまな「すし」80品を取りあげました。色とりどりのちらしずしに巻きずし、いなりずし、にぎりずし。葉っぱを使ったすしに押しずしや箱ずし、魚の姿ずしなど、それぞれの地域のおいしいものをのせたり混ぜたりして、つくり続けてきたすしです。
すしの多くはハレの日の料理としてつくられ、たくさんの人が見て味わうものでした。そのため、魚の尾がピンと立った姿ずし、色合いの違う具を彩りよく並べた押しずしなど、味つけだけでなく見た目の仕上がり具合にも気をつかっています。季節の移り変わりとともに具も変わり、暦の節目も表わしました。
聞き書き調査は日本調理科学会の会員が47都道府県の各地域で行ない、地元の方々にご協力いただきながら、できるだけ家庭でつくりやすいレシピとしました。実際につくってみることで、読者の皆さん自身の味になり、そこで新たな工夫や思い出が生まれれば幸いです。

2017年11月

一般社団法人 日本調理科学会 創立50周年記念出版委員会

 


目次

凡例

  • 〈ちらしずし・ばらずし〉
    • ばらずし(岡山県) …… 6
    • どどめせ(岡山県) …… 8
    • ばらずし(広島県) …… 9
    • ばらずし(愛媛県) …… 10
    • ばらずし(香川県) …… 12
    • かちえびちらしずし(大分県) …… 13
    • ちらしずし(東京都) …… 14
    • かて飯(神奈川県) …… 15
    • みょうがずし(富山県) …… 16
    • てこねずし(三重県) …… 17
    • ばらずし(京都府) …… 18
    • 金時豆入りかき混ぜ(徳島県) …… 20
    • すもじ(島根県) …… 22
    • ぶえんずし(熊本県) …… 23
    • ばらずし(宮崎県) …… 24
    • さつますもじ(鹿児島県) …… 25
  • 〈巻きずし・いなりずし〉
    • 巻きずし(群馬県)…… 27
    • 太巻きずし(千葉県)…… 28
    • 細巻きずし(千葉県)…… 30
    • 太巻きずし(神奈川県)…… 31
    • クルミ入り太巻きずし(新潟県)…… 32
    • こぶの巻きずし(奈良県)…… 34
    • わかめすし(和歌山県)…… 36
    • 南関あげ巻きずし(熊本県)…… 37
    • 【コラム】巻きずしのつくり方 …… 38
    • いなりずし(青森県)…… 39
    • いなりずし(茨城県)…… 40
    • おいなりさん(栃木県)…… 41
    • いなりずし(宮崎県)…… 42
  • 〈にぎりずし〉
    • おぼろずし(千葉県)…… 44
    • 島ずし(東京都)…… 45
    • あじずし(神奈川県)…… 46
    • にぎりずし(静岡県)…… 47
    • いわしのほおっかむり(兵庫県)…… 48
    • じゃこずし(和歌山県)…… 49
    • ままかりずし(岡山県)…… 50
    • 茶台ずし(大分県)…… 51
    • ゆず酢の山菜ずし(高知県)…… 52
    • 魚ずし(宮崎県)…… 54
  • 〈葉のすし〉
    • 笹ずし(新潟県)…… 56
    • 笹ずし(長野県)…… 58
    • 葉っぱずし(福井県)…… 59
    • 朴葉ずし(岐阜県)…… 60
    • 柿の葉ずし(石川県)…… 61
    • 柿の葉ずし(和歌山県)…… 62
    • 柿の葉ずし(鳥取県)…… 63
    • 柿の葉ずし(奈良県)…… 64
    • 鯖のなれずし(和歌山県)…… 66
    • 【コラム】すしを包む・はさむ・のせる葉っぱ …… 68
  • 〈押しずし・箱ずし〉
    • 塩引きずし(山形県)…… 71
    • 押しずし(石川県)…… 72
    • 押せずし(富山県)…… 74
    • 鯖の箱ずし(静岡県)…… 75
    • 箱ずし(岐阜県)…… 76
    • 箱ずし(メジロ)(愛知県)…… 77
    • 箱ずし(モロコ)(愛知県)…… 78
    • こけらずし(三重県)…… 80
    • 宇川ずし(滋賀県)…… 82
    • 鯖ずし(京都府)…… 84
    • 鱧ずし(京都府)…… 86
    • バッテラ(大阪府)…… 87
    • 生ぶしの押しずし(大阪府)…… 88
    • こけらずし(兵庫県)…… 89
    • こけらずし(和歌山県)…… 90
    • 一合ずし(広島県)…… 92
    • ゆうれいずし(山口県)…… 93
    • 岩国ずし(山口県)…… 94
    • 石切ずし(香川県)…… 96
    • 鰆の押し抜きずし(香川県)…… 98
    • カンカンずし(香川県)…… 99
    • 須古ずし(佐賀県)…… 100
    • 【コラム】押しずし・箱ずしの道具いろいろ …… 101
    • 大村ずし(長崎県)…… 102
    • 酒ずし(鹿児島県)…… 104
  • 〈姿ずし〉
    • 鯖ずし(滋賀県)…… 107
    • さんまのなれずし(和歌山県)…… 108
    • さいらずし(和歌山県)…… 110
    • 鯖ずし(兵庫県)…… 111
    • 鯖の姿ずし(島根県)…… 112
    • ぼうぜの姿ずし(徳島県)…… 113
    • 魚の姿ずし(高知県)…… 114
    • このしろの姿ずし(熊本県)…… 116
    • あじの丸ずし(大分県)…… 117
  •  
    • 「伝え継ぐ 日本の家庭料理」読み方案内 …… 118
    • 調理科学の目1 多様なすしとその地域性 …… 122
    • 調理科学の目2 すし飯の好みに見える地方性 …… 124
    • 都道府県別 掲載レシピ一覧 …… 125
    • 素材別索引 …… 126
    • その他の協力者一覧 …… 127
    • 出版にあたって …… 128