そば・うどん・粉もの | 伝え継ぐ日本の家庭料理
伝え継ぐ日本の家庭料理

そば・うどん・粉もの

著者:日本調理科学会 企画・編集
定価:1,760円(税込)
発行:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:堅牢愛蔵版B5変形 130ページ

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こちらはソフトな表紙のハンディ版。価格もお求めやすくなっています。

定価:1,760円(税込)
(内容は同じです)

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そば

そばかっけ(岩手県)

かつては山間部ややせ地で、米や小麦の補いだったそば。手間をかけたそば切りはハレ食の代表になりました。シンプルな手打ちそばから、せん切り大根を混ぜたり大根おろしをかけたり、けんちん汁に入れるそばまで、お国自慢の打ち方と食べ方を紹介します。

うどん

ひもかわ(埼玉県) 生地は切り開いて重なったまま1.5cm幅に切る

夏はさっぱりと冷や汁で、冬は体が温まる煮こみで、また大勢で鍋やたらいを囲んで食べる釜揚げでと、うどんの食べ方は多彩です。手打ちうどんが日常だった小麦産地から、うどん屋が身近だった都市部まで、誰にも愛されたうどんの数々です。

そうめん

鯛そうめん(広島県)

細さとコシ、のどごしのよさが身上のそうめんは、えびのだしやごまのつけ汁で夏にさっぱりといただきます。法事のおとうじや結婚式の鯛めんのようなハレ食がある一方で、昭和の中頃には徐々に身近な食品になってきて、日常の手軽な食事にも使われました。

すいとん・だんご汁

ろくべえ(長崎県)

たかきびやとうもろこしなどの雑穀、さつまいもや長芋でつくる麺やだんごは、その土地でとれるものを無駄なく利用しようとした人々の工夫から生まれた独特のおいしさです。その他、家庭でも外食でも親しまれている粉ものや麺料理もとり上げます。

(写真提供 五十嵐公、奥山淳志、長野陽一、高木あつこ、十倉江里)

 


はじめに

 日本は四方を海に囲まれ、南北に長く、気候風土が地域によって大きく異なります。このため各地でとれる食材が異なり、その土地の歴史や生活の習慣などともかかわりあって、地域独特の食文化が形成されています。地域の味は、親から子、人から人へと伝えられていくものですが、食の外部化が進んだ現在ではその伝承が難しくなっています。このシリーズは、日本人の食生活がその地域ごとにはっきりした特色があったとされる、およそ昭和35年から45年までの間に各地域に定着していた家庭料理を、日本全国での聞き書き調査により掘り起こして紹介しています。

 本書では、全国のそばやうどん、そうめんに、すいとんやだんご汁などの料理を集めました。全国で白米のご飯が十分食べられるようになったのは昭和30年代で、それまでは小麦やそば、雑穀やいもが主食の中で大きなウエイトを占めていました。さまざまな材料を粉にして練ることで、幅広の麺もやわらかいだんごも自由自在。風味が自慢の地元のそば、コシを引き出した地粉の手打ちうどん、地域性のあるつけだれやだしで食べるそうめん、とろみがおいしいほうとうやだご汁、つるっとした食感のたかきびだんご、ほのかな甘さのさつまいもの麺など多彩です。素材の多様さと味つけや具材のバリエーションから、土地の産物や歴史と結びついた麺や粉もの料理が生まれ、地域の味への愛着が形成されてきました。
 昭和の半ば頃は、麺類が家庭で手打ちするものから乾麺やゆで麺を購入するものへ変化する過渡期にあたるようです。手づくりの形は変わっていきますが、各地でなじんだ味は、米の補いという役割から離れても伝えられてきています。

 聞き書き調査は日本調理科学会の会員が47都道府県の各地域で行ない、地元の方々にご協力いただきながら、できるだけ家庭でつくりやすいレシピとしました。実際につくってみることで、読者の皆さん自身の味になり、そこで新たな工夫や思い出が生まれれば幸いです。

2020年2月
一般社団法人 日本調理科学会 創立50周年記念出版委員会


目次

凡例……4

〈そば〉
そばかっけ(岩手県)……6
そばねっけ(宮城県)……8
むきそば(山形県)……9
けんちんそば(茨城県)……10
大根そば(栃木県)……11
大根そば(群馬県)……12
そば(神奈川県)……13
利賀手打ちそば(富山県)……14
おろしそば(福井県)……16
しまいそば(岐阜県)……17
干葉のおこがけ(長野県)……18
伊吹そばと伊吹大根おろし(滋賀県)……20
にしんそば(京都府)……21
めかぶそば(島根県)……22
そば切り(徳島県)……24
けんちんそば(岡山県)……26
そばじゅい(宮崎県)……27
わくど汁(宮崎県)……28
そまんずし(鹿児島県)……30
へぎそば(新潟県)……32

〈うどん〉
うどんのあんかけ(山形県)……34
ひっぱりうどん(山形県)……35
まんがこ(福島県)……36
耳うどん(栃木県)……38
煮ごみ(栃木県)……40
冷や汁うどん(栃木県)……41
ちたけうどん(栃木県)……42
ずりだしうどん(東京都)……43
手打ちうどん(群馬県)……44
おっきりこみ(群馬県)……46
冷や汁うどん(埼玉県)……48
ひもかわ(埼玉県)……50
にごみ(神奈川県)……52
おしぼりうどん(長野県)……53
お祝いうどん(山梨県)……54
手打ちうどん(山梨県)……55
ほうとうとみみ(山梨県)……56
きしめん(愛知県)……58
味噌煮こみうどん(愛知県)……59
伊勢うどん(三重県)……60
たぬきうどん(京都府)……61
きつねうどん(大阪府)……62
打ちこみうどん(香川県)……63
しっぽくうどん(香川県)……64
包丁汁(愛媛県)……66
たらいうどん(徳島県)……68
ごまだしうどん(大分県)……69
ほうちょう(大分県)……70
鯛めん(大分県)……72
【コラム】家庭で使われていた小型手動式製麺機……73

〈そうめん〉
ごまだれうーめん(宮城県)……75
おとうじ(長野県)……76
大門素麺(富山県)……78
そうめんごま汁(千葉県)……80
焼きさばそうめん(滋賀県)……81
鯛そうめん(広島県)……82
鯛めん(兵庫県)……84
干しえびのそうめんだし(山口県)……85
なすそうめん(香川県)……86
冷たい汁そうめん(高知県)……87
地獄そうめん(佐賀県)……88
油ぞうめん(鹿児島県)……89
ソーミンタシヤー(沖縄県)……90

〈すいとん・だんご汁〉
かにばっと(岩手県)……92
じゅうねばっと(岩手県)……94
汁はっと(宮城県)……95
法度汁(栃木県)……96
おつみっこ(群馬県)……97
かぼちゃのだんご汁(福岡県)……98
だご汁(佐賀県)……99
だんご汁(大分県)……100
だご汁(熊本県)……101

〈その他の麺・粉もの〉
長芋入りすいとん(青森県)……103
たかきびだんご汁(岡山県)……104
せんだご汁(熊本県)……105
ろくべえ(長崎県)……106
おつり(愛媛県)……108
お好み焼き(大阪府)……110
お好み焼き(徳島県)……111
ちゃんぽんと皿うどん(長崎県)……112
ナポリタン(神奈川県)……114
【コラム】麺に入れるのは長ねぎ? 青ねぎ? ……115

「伝え継ぐ 日本の家庭料理」読み方案内……116
調理科学の目1 小麦粉の麺、そのおいしさの科学 …120
調理科学の目2 東西で異なるうどんつゆの味 …122
都道府県別 掲載レシピ一覧……123
素材別索引……124
その他の協力者一覧/著作委員一覧……126
出版にあたって……128

だんご汁(大分県)

ここでは小麦粉と水で練った生地を丸めたりつまんだりした、すいとんやだんご汁を集めました。麺よりも手軽にでき、たっぷり具の入った汁に直接入れて煮るので、これだけで簡単な一食になりました。地域や家庭により、生地ののばし方やかたさの違いが見られます。

その他の麺・粉もの

ろくべえ(長崎県)

たかきびやとうもろこしなどの雑穀、さつまいもや長芋でつくる麺やだんごは、その土地でとれるものを無駄なく利用しようとした人々の工夫から生まれた独特のおいしさです。その他、家庭でも外食でも親しまれている粉ものや麺料理もとり上げます。

(写真提供 五十嵐公、奥山淳志、長野陽一、高木あつこ、十倉江里)

 


はじめに

 日本は四方を海に囲まれ、南北に長く、気候風土が地域によって大きく異なります。このため各地でとれる食材が異なり、その土地の歴史や生活の習慣などともかかわりあって、地域独特の食文化が形成されています。地域の味は、親から子、人から人へと伝えられていくものですが、食の外部化が進んだ現在ではその伝承が難しくなっています。このシリーズは、日本人の食生活がその地域ごとにはっきりした特色があったとされる、およそ昭和35年から45年までの間に各地域に定着していた家庭料理を、日本全国での聞き書き調査により掘り起こして紹介しています。

 本書では、全国のそばやうどん、そうめんに、すいとんやだんご汁などの料理を集めました。全国で白米のご飯が十分食べられるようになったのは昭和30年代で、それまでは小麦やそば、雑穀やいもが主食の中で大きなウエイトを占めていました。さまざまな材料を粉にして練ることで、幅広の麺もやわらかいだんごも自由自在。風味が自慢の地元のそば、コシを引き出した地粉の手打ちうどん、地域性のあるつけだれやだしで食べるそうめん、とろみがおいしいほうとうやだご汁、つるっとした食感のたかきびだんご、ほのかな甘さのさつまいもの麺など多彩です。素材の多様さと味つけや具材のバリエーションから、土地の産物や歴史と結びついた麺や粉もの料理が生まれ、地域の味への愛着が形成されてきました。
 昭和の半ば頃は、麺類が家庭で手打ちするものから乾麺やゆで麺を購入するものへ変化する過渡期にあたるようです。手づくりの形は変わっていきますが、各地でなじんだ味は、米の補いという役割から離れても伝えられてきています。

 聞き書き調査は日本調理科学会の会員が47都道府県の各地域で行ない、地元の方々にご協力いただきながら、できるだけ家庭でつくりやすいレシピとしました。実際につくってみることで、読者の皆さん自身の味になり、そこで新たな工夫や思い出が生まれれば幸いです。

2020年2月
一般社団法人 日本調理科学会 創立50周年記念出版委員会


目次

凡例……4

〈そば〉
そばかっけ(岩手県)……6
そばねっけ(宮城県)……8
むきそば(山形県)……9
けんちんそば(茨城県)……10
大根そば(栃木県)……11
大根そば(群馬県)……12
そば(神奈川県)……13
利賀手打ちそば(富山県)……14
おろしそば(福井県)……16
しまいそば(岐阜県)……17
干葉のおこがけ(長野県)……18
伊吹そばと伊吹大根おろし(滋賀県)……20
にしんそば(京都府)……21
めかぶそば(島根県)……22
そば切り(徳島県)……24
けんちんそば(岡山県)……26
そばじゅい(宮崎県)……27
わくど汁(宮崎県)……28
そまんずし(鹿児島県)……30
へぎそば(新潟県)……32

〈うどん〉
うどんのあんかけ(山形県)……34
ひっぱりうどん(山形県)……35
まんがこ(福島県)……36
耳うどん(栃木県)……38
煮ごみ(栃木県)……40
冷や汁うどん(栃木県)……41
ちたけうどん(栃木県)……42
ずりだしうどん(東京都)……43
手打ちうどん(群馬県)……44
おっきりこみ(群馬県)……46
冷や汁うどん(埼玉県)……48
ひもかわ(埼玉県)……50
にごみ(神奈川県)……52
おしぼりうどん(長野県)……53
お祝いうどん(山梨県)……54
手打ちうどん(山梨県)……55
ほうとうとみみ(山梨県)……56
きしめん(愛知県)……58
味噌煮こみうどん(愛知県)……59
伊勢うどん(三重県)……60
たぬきうどん(京都府)……61
きつねうどん(大阪府)……62
打ちこみうどん(香川県)……63
しっぽくうどん(香川県)……64
包丁汁(愛媛県)……66
たらいうどん(徳島県)……68
ごまだしうどん(大分県)……69
ほうちょう(大分県)……70
鯛めん(大分県)……72
【コラム】家庭で使われていた小型手動式製麺機……73

〈そうめん〉
ごまだれうーめん(宮城県)……75
おとうじ(長野県)……76
大門素麺(富山県)……78
そうめんごま汁(千葉県)……80
焼きさばそうめん(滋賀県)……81
鯛そうめん(広島県)……82
鯛めん(兵庫県)……84
干しえびのそうめんだし(山口県)……85
なすそうめん(香川県)……86
冷たい汁そうめん(高知県)……87
地獄そうめん(佐賀県)……88
油ぞうめん(鹿児島県)……89
ソーミンタシヤー(沖縄県)……90

〈すいとん・だんご汁〉
かにばっと(岩手県)……92
じゅうねばっと(岩手県)……94
汁はっと(宮城県)……95
法度汁(栃木県)……96
おつみっこ(群馬県)……97
かぼちゃのだんご汁(福岡県)……98
だご汁(佐賀県)……99
だんご汁(大分県)……100
だご汁(熊本県)……101

〈その他の麺・粉もの〉
長芋入りすいとん(青森県)……103
たかきびだんご汁(岡山県)……104
せんだご汁(熊本県)……105
ろくべえ(長崎県)……106
おつり(愛媛県)……108
お好み焼き(大阪府)……110
お好み焼き(徳島県)……111
ちゃんぽんと皿うどん(長崎県)……112
ナポリタン(神奈川県)……114
【コラム】麺に入れるのは長ねぎ? 青ねぎ? ……115

「伝え継ぐ 日本の家庭料理」読み方案内……116
調理科学の目1 小麦粉の麺、そのおいしさの科学 …120
調理科学の目2 東西で異なるうどんつゆの味 …122
都道府県別 掲載レシピ一覧……123
素材別索引……124
その他の協力者一覧/著作委員一覧……126
出版にあたって……128